2024年2月11日日曜日
ARTIST
クラッシャーハットを被り、ストリームデザインのフィッシングベストにユニローヤルのラバーソール・ヒップブーツ、手にはウォルトン・パウエルのフライロッドにマーキスリール...当時のFFM、最新のスタイルである。
日本のロッドビルディングの草分け的存在だった「マッキーズ・クリーク」は宮坂雅木により1980年1月23日(いち・に・さん、とスタートした・笑)東京・中央区新富町で開業した。70〜80年代初頭は我が国のアウトドアブームの黎明期に当たる。開業当時はまだ独自に輸入したセージSAGEやダイアモンドバックDiamondback、ロドンRodon、デールクレメンスDale Clemens、ルーミスLoomisなどのブランクスが主流であった。アーティスト「ARTIST」ブランドが世に出るのは1982年のマルチピース・ファイバーグラスから始まり、アーティスト・グラファイト・ブランクスが登場するのは1983年7月。彼の手書で作られ、コピーして配布されたリストに「新登場」と告知されている。
今回、修理に来たロッドがARTIST AGF6634Pだったので、記憶を辿ってみる。AGFはアーティスト・グラファイト・フライの頭文字で、4ピースは後のハイカーボンで作ったTRAVELERの前身、初期モデルであるから40年前のロッドと判断出来る。U型フックキーパーは持ち主により外されていたので、オリジナルを残しシンプルな巻き上げだけ...
小さく記入されたスペックは間違い無く、宮坂マッキーの手書き文字。オリジナルロッドは要所に白で飾り巻きが施され、ガイド部とジョイントは黒糸のみで巻かれている。ARTISTのロッドを手にしたら、新富町の工房に於ける昔日8年間の出来事が、つい先日のことの様に浮かんだ..
店は2022年8月31日、42年間の歴史に幕を下ろした。
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